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『別離』  

最近映画を全く観ていなかったわけではないのだけど
期待した割には肩透かしだったり 腑に落ちなかったり はてなマークが羅列したままだったりの作品が続き
どうも感想を描く気になれず…。

心地よい余韻の波に浸ることができた久しぶりの映画は その高い前評判に違わぬ素晴らしさ
アカデミー賞外国語賞受賞も納得の秀作でした。


『別離』



首都テヘラン北部の富裕地域に住む離婚寸前の中流階級夫妻と 
南部に住む貧しい下層階級の夫妻の間に起きた「訴訟」問題に焦点をあて
イスラム化政策がもたらした弊害と軋轢・女性の社会進出がもたらす家族の変容・特に老親介護の問題
そして 法では解決できない複雑な人間心理を描きだした傑作。
監督は『彼女が消えた浜辺』でもベルリン国際映画祭の銀熊賞(監督賞)を受賞した
イランの新鋭アスガー・ファルハディ。



今作も『彼女が消えた浜辺』同様
人間誰もが持ち合わせている感情とそれに起因する行動を描いたミステリータッチの作品ではあるが
その緊迫度や観る者を惹きつけて離さない圧倒的な力は前作をはるかに超えるものだ。

いくつもの複線を張り巡らせた緊張感あふれるストーリー展開で
私たち観客は一瞬たりともスクリーンから目を逸らすことができず 
劇場内は最初から最後まで水を打ったような静けさに包まれたまま。

言葉ひとつで わずかな表情の動きや微妙な態度で
事件が二転三転し複雑に絡み合っていく見事な演出にみな釘づけだった。

訴訟問題は それぞれの夫妻の苦悩をさらけ出す形で紛糾した後
終盤 一体何が彼らを追いつめているのか 裁かれるべきは何なのかという根本的命題へと観客を向かわせる。

社会・宗教・法の抱えるさまざまな矛盾と不条理が 物語の背後からせり上がってくるのだ。

さまざまな問題を抱えた事件がようやく終息へと向かうそのとき
白とも黒ともはっきりしない含みを持たせたグレー色のラストが待っている。

答えは決まっているのにその答えを見せない。
答えは涙の中へと消えていく…。


濃密な人間ドラマの中に 夫婦間の倫理的問題・格差社会の現実・介護の在り方・信仰や信条など
“イランの今”を浮き彫りにしているところがとても興味深い今作品。

それらは今の日本が抱えている課題と類似する部分も多々あり 
人間としての在り方・生き方を深く考えさせられる作品でした。

category: movie

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