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yumiライブラリーより~言葉のファンタジスタ~  

3年前に文壇デビューを果たした川上未映子

過激さと繊細さを併せもった鮮やかな言葉使い そして哲学的な問いが
川上文学の魅力だ。

デビューして1年後には 早々と芥川賞を受賞
その後も中原中也賞・芸術選奨新人賞など 数々の賞を手にしていく。

「乳と卵」


娘をつれて 豊胸手術を受けるために上京してきた姉と 
その2人を迎え入れる私。

3人の身体観と哲学的テーマが痛快に展開される3日間を描いた作品。

「何なんだ!?この文章は???」
この作品で初めて川上文学に触れた私の第一印象が これだ。

なかなか終わらない長い一文に 時々挿入される大阪弁と体言止め。

リズムに乗ったうねるような文章に 最初かなりの違和感を感じつつも
いつしかその独特なリズム感に魅了されていく。

享楽的な文体や普通じゃない言葉の組み合わせは
一見 奇をてらったのかと思いきや
実は無駄な描写もなくよく考えられた文章。

ただおっぱいと卵子についてだらだら書き綴られているように見える本作だが
その中に女ならではのさまざまな葛藤・不安・憂鬱…などなど
複雑な心情が盛り込まれ 3人3様の心模様が浮かび上がる。

この人 美人作家ってもてはやされてるけど
そんなものを超えて ほとばしる感性を身にまとう才女なんだな~とため息。

表現や言葉使いが 
キャンバスに描かれるデザインや色のように自由奔放に駆使されていて
まるで言葉のファンタジスタだ。

収まりのいいお行儀のよい作品に慣れた読者には不評かもしれないが
個人的に私は好き。

併録された「あなたたちの恋愛は瀕死」
ぶっとんだ恋愛感をジェットコースターのように妄想しつづける女…

ラストの爆発に圧倒される衝撃の短編である。

この2作品で瞬く間に川上作品の虜となった私は
むさぼるように次作へと手を伸ばす…。


「ヘブン」


アクの強い彼女がその独特な個性を封印して
あくまで普通の(一般的な)文体で書いた作品。

凝った表現や難しい文章を避けたとても読みやすい文章は
逆にみずみずしい世界を放つ。

しかし 読みやすい文章ながらもその内容は濃く重たい。

イジメをテーマとして扱い 
善とは何か・悪とは何か…
その哲学的問いのなかに善悪を揺らし続ける。

とにかく読んでいてつらかった。

早く楽になりたくて先へ先へ読み進めるが 一向に楽にならず。

張り詰めた展開と濃密な言葉が
痛みや匂いさらには味までをも鮮やかに再現…五感を刺激する。

心臓の奥深くをえぐられるような感覚を何度も味わうが
しかしこの作品は悲観的でも絶望的でもない。

ラストの描写の美しさに涙が溢れた。



川上作品についてはまだこの2冊しか読んでいないので
彼女の魅力を語るにしては早すぎた感もある。

だけどこの驚愕と衝撃が冷めやらないうちに…と
事を急いでしまいました。

未読の作品たちにはきっと 
宝石のような言葉の魔術が散りばめられていることだろう。

彼女の作品には 急ぎたいけど なるべくもったいぶって
丁寧に足を踏み入れていきたい…。

category: book

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