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野矢先生のお話…文体  

「哲学な日々」出版を記念して来福された野矢茂樹先生のお話を聞きに行った。

野矢先生は日本を代表する哲学者であり 東京大学での講義でも高い人気を誇る著名な方だ。

…と言いながら実は oshowさんからこのイベントに誘われるまで私は野矢先生のことを知らなかった。

「哲学な日々」は西日本新聞に掲載された野矢先生の連載随筆「哲学者のいる風景」を集めたもので
その表紙や挿絵をoshowさんが描いていたことから 今回の出会いに繋がったというわけで。


野矢先生のお話は 堅苦しい哲学の講義…というよりは
その辺の小石を拾い集めるようなたわいもない日常のあれこれから始まったのだが
そんなとりとめのない話の中にも 心にすっと入り込んできたり 胸をぐぐっと突き上げてきたり…
随所にキラリと光る「野矢節」「野矢語録」が満載だった。

印象に残るお話は数知れず。

そのうちいくつか抜粋して書いてみようと思う。


〈文体について〉

先生は小学生の頃「ドリトル先生」のお話にハマり 全巻を貪るように読みあさったという。

その後「山椒魚」という小説について感想文を書いたところ佳作を受賞
これは先生が最初にもらった賞だったとのこと。

「山椒魚」を書いた井伏鱒二…
実はこの人「ドリトル先生」の訳者でもある。

井伏鱒二が訳したドリトル先生が大好きで 彼の書いた本も好きで…

つまるところ 先生は井伏の文章が好きだということに気づく。

井伏鱒二の 淡々と飄々とした語り口は独特だ。

それでいて 優しく丁寧な文章は美しくて読みやすい。

ときに物語の語り手が作者自身になると思われることがあり
読者に直接に語りかけるような文体を用いるときがある。

それは同じく先生が好きな村上春樹にも通じているそうだ。

語られる内容・語り手・作者の間の距離感を常に意識した文章。

…哲学とは全く別方向へ話が逸れていくのだが
私にとってはこの話の展開がとてもおもしろくて。

というのも

私も小学生のとき「ドリトル先生」全巻に夢中になったし
「ドリトル先生」で初めて読書感想文の賞をいただいたし
村上春樹も太宰治も好きなのだ(太宰は井伏と師弟関係にある)。

なんと野矢先生と類似点の多いことか。
内心ほくそ笑む私。

ということは 
私の読書の好みも つまり井伏鱒二の文章から始まっていたということになる。

子どもの頃 何気なく出会った作家がその後の読書人生に大きく影響しているなんて考えもしなかった。

そして 好きな本好きな作家というのはその内容以前に文体がらみだという野矢文学論に目から鱗 
先生の話にぐいぐい引き込まれていく。

哲学の話のはずがすっかり文学や文体の話へすり替わってしまった時間
私の胸は高鳴りっぱなしだった。

楽しいなあ。
私は完全に文系だなあ笑。

だから 哲学とは全く無関係なこの話をまず ここに書いておきたかったんだ。

category: book

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